オンライン カウンセリングはほぼ三日以内の対応が可能です。

空の巣は辛いけど 手放す愛 

空の巣は辛いけど 手放す愛 

看護師・心理カウンセラーの渡辺由紀子と言います。

関係を切るのが愛情、というのは、時には別れの口実になったりします。
こんな自分の一緒にいるのは辛いのではないか、といって、夫婦関係や恋愛を終わらせようとする、といった話しは時々ききますが、大概は口実。
別れたい方に都合の良い話しにすぎません。

それでも、別れる事が愛情である関係性もあるとおもいます。

典型的なのが、自立しようとする子供を手放していく親の心情。

人は子供が生まれた時に、どんな子供に育って欲しいかイメージします。
形はちがっても、望むように育って欲しいという事にかわりはありません。

自由にのびのびと、自立できるように、というのも、いつまでもかわいい自分の娘息子でいて欲しいと思うのも、望むようになって欲しいという所では共通しています。

そして、どちらにしても、100%親の望むように育つ子供はいないものです。

親離れ 子離れは 行きつもどりつ

心理学者のマーガレットマーラーが再接近期について述べています。

ハイハイができるようになった子供は母親の膝から這い出して、隣の部屋に行こうとする。それでも、好奇心半ば、怖さ半ば。進んでは膝にもどっては、再度這い出していく。そんな時期の事です。

思春期以降、子供が親を離れていく時も、同じようなプロセスをたどるように思えます。

バイトだけで、1人暮らしをして充分やっていけるような気がして卒業を待たずに家を出たいと言っていた子供が、やりたい事が出てくると、あたり前のように親に学費を出してくれと言い出す。

そのうち結婚するからと、彼と住む事に同意を求めて出ていっておきながら、うまくいかなくなると実家に帰ってくる。

都合の良い時だけ親を頼って、と言いながらも、親はついつい援助してしまいます。

都合の良い時だけ使われる事に、ちょっと腹立たしいような気持ちもありながら、援助する余裕がある時なら、頼られる事が嬉しいような気持ちも働きます。

離婚してもどったら、親が大喜びした、といった話しは身近にいくらでもあります。

都合の良い時だけ親を頼る子供も、子供に頼られたら嬉しい親も、悪いわけではありません。むしろ、そんな事を繰り返しながら、少しづつ距離を置いていくのが、自然な姿のようにも思えます。

自立は嬉しいが 子離れは辛いもの

親を離れていく子供と、子供を手放す親、どちらが辛いか一言では言えません。

それでも、子供の側の辛さは、ほとんどが親の理解を得られない事に起因しているように思われます。

親は、自立を喜ぶ思いがあっても、やはり辛いものです。

寂しいという言い方より、虚しいという方がしっくりくる方も多いものです。

もう必要としてもらえない。
これまで、大事に育ててきた日々はなんだったのだろう。

進学で家を出たにしても、嫁いでいったにしても、空の子供部屋で毎日泣いているといったお話は、よくうかがいますし、私自身もそんな日々を通ってきました。

そんな時は、まず、寂しくてあたり前だと思う事です。

あんなに大事に育てのに、出ていってしまうなんて、ひどいよね、寂しいよね、と自分に語りかけてやると少し楽になります。

急いで、寂しさを埋めようとしても無理があります。
少しずつ、自分の時間を楽しめるようになると良いのですが、まず、悲しみを認めて癒してやるようなプロセスを丁寧に踏んでください。

それからおいおい自分の楽しみを見つけていく。

親が自分の楽しみを見つけていくことが、一番の子供孝行だと言います。

ただ、渦中にいる時は、大変なだけに思えた子育ては、子育てが多くの親、特に母親にとっては一番の楽しみだったりします。二番手の楽しみで、埋めるのは大変な面があります。

そんな時は、それが、子供の望みであることを思い出すのが、良いと思います。それを望まない子供は、良くも悪くも親元に留まりたがります。それはそれで、ちょっと嬉しい面があったりしますが、仕事をしているにしても、生活面は親に頼ってあたりまえといった生活が望ましいようにも思えません。

自分で生活を立てられるようになって、やがては新しい家庭を持っていく。
いろいろなパターンはあると思いますが、親を宛てにしないでやって行こうとする子供を誇らしく思って良いのだと思います。

どんな援助より、子供が一番望む所を応援しているのだと思うと、寂しい気持ちにかわりはなくても、自分の人生はなんだったのだろうといった所に気持ちがいかないですみます。

子離れは良い老後を迎える為の課題

自立しようとする子供を、ちょっと遠くても自宅から通勤するように説得したり、自分が寂しいから、つれてきたパートナー候補の彼や彼女に難癖をつける。

露骨にやらないまでも、そんな気持ちで子供に対応してしまう事はあると思います。

お母さんを置いていく気なの、という言葉が口をついて出そうになる事もあると思います。

ある程度は、そんな事もあって、それでも振りほどいて自分を通せる子供はたくましいと思うのですが、それができない子供もいます。

親は家を出る事や、賛成できない結婚をあきらめてくれたとほっとするのですが、子供の中に恨みが残っている事は、しばしばあります。

絶対に結婚したら不幸になる事が親の目から見て取れる時(暴力や依存症など)は、恨まれる事を覚悟で止める事もあって良いと思います。

そうでもないけど、なんだかこのまま子供が離れていくと思うといてもたってもいられないような思いになる時は、一度、しっかり手を放す事で子供と大人どうしの関係になれると思い返すのが良いと思います。

盆正月に帰省する時に、心から親を懐かしく思って帰ってくる。
実際は、帰らなかったら何を言われるかわからないから、帰っているけど、気が重くてならないというお話しは沢山聴いています。

年をとった時に、何かしてもらえるというわけではなくても、自然に気遣ってもらえるような関係が嬉しいのではないでしょうか。

いつまでも子供に気持ちが残っていると、子供の側には、何とか振りほどかなければならないような気持が働きます。
振りほどいてみた所で、罪悪感は残ります。親の意向に沿えない自分を責めてみたり、そんな気持ちに追い込む親を恨んでみたりといった気持ちを抱えてカウンセリングにこられる方がたくさんおられます。

寂しいけれども手を放してくれた親の愛は、子供には伝わっているものです。

それを信じて、巣立つ子供を送りだしてやりたいものだと思います。

関連記事
50代女性 子供が結婚 自立 空の巣症候群の寂しさを乗り越える


Follow me!

PAGE TOP