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自分の子育ては悔いばかりと思う時 心の境界線を引くと楽になる

自分の子育ては悔いばかりと思う時 心の境界線を引くと楽になる

看護師・心理カウンセラーの渡辺由紀子と言います。

自分の子育ては悔いる事ばかりだというお母さんに会う事があります。
セッションのクライアントさんだたり、同年代から少し若い年齢の友達の友達だったり、様々ですが、あちこちで同じようなお話しをきくので、かなりの割合でおられるような気がします。

そんな方の子供が、犯罪に手を染めていたり、依存症だったり、引きこもりだったりするわけではありません。
子供に目に見える問題があれば、親はその対応に追われるのか、過去の子育てを悔いるような言葉は出てこないのかもしれません。逆に、子供を責めるような側面が強く出てしまうのが、気になる事もあるのですが、今回はその事は置いて、子育てへの悔いを口にされるお母さんに向けて書いてみたいと思います。

どちらかと言うと、子供が自立してしまって、今さら何もできない、という方に向けたお話しですが、子育て真っ只中の若いお母さんがたにも参考になる所はあると思います。

子供に求めすぎてはいませんか?

一流大学出て、良家へ嫁ぎ、親孝行に頻繁に実家に出入りして、出来の良い孫を産み育てて・・私もそんな事を期待されていたような気がします。

ことごとく裏切ってしまった事への罪悪感は、長いセラピストトレーニングの中で大分解消してきましたが、まだ皆無ではありません。

子供を良妻賢母になるように育てたけれど、仕事ばかりして結婚しようともしない、といったお話しがあるかと思えば、奨学金を肩代わりして一流大学に行かせたのに、ろくに働かないうちに家庭に入ってしまった、というお話しもあります。

傍から、うかがっていると、充分ではないかと思えるのですが、親としては、望むように育ってくれなかった事への悔いが残るようです。

子供は親を必要としなくなってくれたら充分、と思う事は難しい事かもしれませんが、一人二人の子供に、人生のあらゆる面の成功を見せて欲しいというのは惨い話かもしれません。
子供が5人も居れば、ある子どもは孫をみせてくれるだろうし、ある子どもは仕事で成功してくれるといった状況が期待しやすいのですが、現代は一人二人の子供が親の願いのすべてを叶える事が求められているように思います。

子供に大きな期待をよせて、それがかなわなかったら人生の失敗のように感じる方は、子育てに悔いがあるという以前に、自分の人生への不全感があるものです。その事を自覚して、そこを自分で埋める方向で考えるとずっと楽になります。

今から、大学院に行っても良いし、働いてみるのも良い。夫との関係に不満があるからといって、新しいパートナーを探す事はいろいろな軋轢はあるでしょうが、場合によってはそんな事も含めて視野に入れてみるのも良いかもしれません。

子供の人生は子どもの物ですが、逆に親の人生だって自分のものです。
子供が親がなければ生きられない時期には、子供を優先に生活設計をしていく事も必要でしょうが、いつまでもそこに立っていると、どこかでその見返りを期待して、子供を縛って嫌われてしまう、といった事がおこりがちです。

子供の望みを叶えられない事に負い目を持つ事はない

子供が自分の期待した事を叶えてくれなかったのとは逆に、子供の期待に充分に応えられない事を、子育ての悔いと感じているお母さんもいらしゃいます。

一旦、独立した子供が、大学院に行きたいと言ってきた。
嫁いだ子供が、別れて帰ってきた。

こんな時は、親の側は、何とかしてやりたい、とか、子供に何かできるのが嬉しい、といった気持ちになる事も多いようです。

いい年をして親に頼るような子供に育てて、失敗した、という思いが出てきても良いように思うのですが、そんな気持ちを聞いた事はありません。

そんな時に出てくるのは、もう年金生活だから、充分な事をしてやれない、という嘆きです。

本当に大変な一時期は、何とか助けるけど、早々に自立してね。下手に、今あなたにお金を出してあげると、老後に向けて蓄える事ができないのだから、結局あなたに迷惑をかける事になる。
平均的な家庭では、それがあたり前だと思うのに、そんな話ができる親は少ないような気がします。

当てにするように育てた事を嘆くのではなく、当てにされた事に応えられない事を嘆くのはどこかずれているような気がしてなりません。

親子の間にも境界線が必要

心理臨床にはバウンダリーという言葉があります。
境界線。
親子でも、配偶者でもそこに一線がある状態の方が健全だとされます。

成人した子供なら、自分の口は自分で養った上で、自己実現の道を探していく。
自分の恋愛の結果、子供を得たのなら、基本自分の力で育てていく。
手助けや思いやりはあっても良いのですが、助けられるのがあたり前、とか援助するけど口も出す、というのは、境界線が引けていない状態です。

子育てがうまくいかない時、心理療法は親の足りない点に言及する事が多くなります。
子供は親の手をかりないと生きられないのですから、親の方が配慮する側に立つ必要がある時期も当然あります。
かといって、子供は別の人格なのだから、支配してはいけないと言われます。


それでも、親が子どもを操作する事がタブーであるのと同じように、子供も自分の人生に踏み出そうとする時、自分で担わなければならない物もあるのです。

子育てに悔いが残ると言われる方は、是非、その最後の仕事。
子供に、自分の人生を自分で担わせる事、に取り組んでいただきたいと思います。

いきなり自立した子供にならなくても、親の姿勢が子供に自分の人生を渡す方にシフトした時、後悔ばかりだった子育ても色合いが変わってくるように思えるのです。

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